今回は、ブルーズのジャムセッション(以下、ジャムと省略します)参加へ向けての準備の一つとして、ブルーズジャム参加にあたり、必要最低限、把握しておくべき「決め事」についてを語っていきましょう!
ブルーズジャムについての心構えやお勧めポイントは、よろしければこちらの記事もご覧ください。
ブルーズジャムって敷居が高い?実はブルーズはとっても身近な存在でもあるのです!
さて、前回の記事の最後に書いた、ブルーズの基本的な「決め事」ってなんでしょう。
ミュージシャンの方ならば、「はいはい、知ってる知ってる」ってなると思います。初心者でも、楽器奏者の方なら、なんとなくわかりますよね。
はい、では、歌手志望の方で、右も左もわからない!と言う方へ、その「決め事」を、楽器未経験のビギナーボーカリストでもわかり易い言葉でお伝えします!
ブルーズの基本の構成は、「12小節、3コード」です。一応、ここでは海外でのジャム参加を目標としてますので、英語で言ってみましょう。
「Songs with Twelve bars and three chords.(トゥエルヴ バース、スリー コーズの曲)」
小節のことを、Bar(バー)と言います。12小節なので、Barsですね。これ、単純なワードであり、ミュージシャンであれば誰しもが使ってるのですぐに覚えると思いますが、初歩的な単語として覚えておくと良いです。
「あれあれ?小節って何て言うんだっけ?」と、なるときもあるかもしれないので、小節の事は、バー、と日頃より使っておきましょう。
海外目的ではなくても、日本で使用していても「あれっ、なんかコイツ、プロっぽいじゃん!」って、なりますよ。相手がミュージシャンであればわかります。
コードというのは、和音のこと。つまり、弦楽器をジャラーンと鳴らすと、異なる音が重なって綺麗なハーモニーになりますよね。これも複数形でChordsになります。
スコアなどに打たれているアルファベット、Aとか、Eとか、Bmとか書かれてある、あれがコードです。
この辺に関してはご存知である事を前提に、続けていきます。
理論上、ブルーズの転回は(基本的には)決まっている
ブルーズは、基本的に、I(トニック)、IV(サブドミナント)、V(ドミナント)、という3コードのみで、12小節を演奏する構成になっています。
つまり、この12小節を一周まわると、ワンコーラス(歌詞がついている曲で言うと、一番の歌詞が終わった)と言う事になります。
「C」のスケールでいうと、I = 1 として、C、D、E、F、G、A、B 、と、「C」のメジャー・スケールを並べてみて、番号を振ってみます。この中から、1と4と5を引っ張ってくると、I(C)、IV(F)、V(G)ですよね。つまり、キー「C」のブルーズを歌うならば、「C」と「F」と「G」の、3つのコードだけで演奏されるという事です。
構成は、こんな感じになります。
| I(C) | I(C)または IV(F) | I(C) | I(C) |
| IV(F)| IV(F) | I(C) | I(C) |
| V(G) | IV(F) | I(C) | V(G)|
この構成(I、IV、Vの順列)が変わることはありません。ブルーズでは、これが延々とループされるわけです。例えば以下のようなイメージですね。
一番の歌詞が終わった(12小節が終わった)→ ふりだしに戻る → 次の12小節は所謂「間奏」→ ふりだしに戻る → 二番の歌詞(ブルーズの場合は大体が同じ歌詞)に続く → ふりだしに戻る → 再び間奏?→ 適当にこのループを繰り返し、エンディング・・・
この構成は皆が解釈している事なので、ジャムでは、このブルーズの基本構成を利用して皆が遊ぶ(演奏する)ということです。
バンドマスター(以下、バンマスと言います)は、それぞれのプレイヤーがこの構成の中で遊ぶのを止めたり、順番を回したりなど仕切る役割を担います。
ブルーズの場合は、歌が入るときはボーカル・またはギターボーカル、インストの場合はメインギターのパートがバンマスになり指揮を取ることが多いです。
まずはイントロ。どんな感じで入るかは後述します。
そしてボーカルまたはギターボーカルが一番の歌詞を歌った後、「間奏」の部分で、楽器のソロ(アドリブ)回しをやります。
歌い終わりかけたボーカル(またはバンマス)が、(次は君の番だよ!)と次にソロを演奏してほしい楽器に目配せや身振りなどで合図を出して「振り」ます。
その順番を受けて演奏した楽器が、同じように目配せや身振り(ギターのネックをゆらしたりなど)をして、また次の楽器へとソロを振ります。
基本的にはバンマスが全体の指示を出しますが、楽器パートのソロ回しの場合は、演奏を終える奏者が次のパートに指示を送ります。
一通りプレイヤーの皆にソロ演奏が回ると、最後にボーカル(またはリード奏者)へ、ソロが戻ってきます。
ちなみに、楽器のソロ回しは、曲で言えば「間奏部分」になります。
ブルーズは12小節の繰り返し。その間奏タイムが何分になるかは、プレイヤーがどれだけ演奏するか、何人いるかで変わるという事ですね。
さて、ソロ回しの後にようやくボーカル(リード奏者)に主導権が戻ってきました。
あとは、12小節をひと回し乃至ふた回し等歌い、エンディング。
最後の主導権を取ったボーカル(またはリード奏者かバンマス)が、周りの奏者に合「次で終わるよ〜」と、合図を送り、その1曲を締めるのです。
エンディングは、その時のノリ次第、感覚のようなものもあるので説明が難しいのですが、12小節歌唱後、再び「最後の4小節だけを3回繰り返して」終わるパターンや、最後の1小節を強調してバーン、とエンディング風に鳴らして終わるパターンが多いですね。
指で小節数を示したり、手で合図を送って、指揮する感じです。この辺の説明が難しいので、ぜひ一度、ジャムの様子を観察して見てください。難しくないですよ。
エンディングに関しては、よほど高レベルな組み合わせの場合以外、あまり凝ったことはしないので、割と適当でもなんとかなりますよ!
バンドのお父さん、お母さんには確認必須!
ジャムの流れを、「ブルーズジャムでよくある楽器組み合わせ」の例で、再度わかりやすくまとめると、こんな感じ。
ラスト4Bars(最後の4小節をイントロとして使う)→ ボーカル歌唱 → ソロ(ギター1)→ ソロ(ギター2)→ ソロ(サックスやハープなどのオプション楽器がある場合)→ ソロ(ベース・但し、承諾が必要)→ ソロ(ドラム・但し、承諾が必要)→ ボーカル歌唱 → エンディング
ブルーズは、ギターが最大の見せ場になることが多いです。
ギタリストさんのソロ回しのタイミングは慎重に。(笑)十分に演奏してもらうようにしましょう。
ブルーズには、ピアノよりもハープやサックスなどが入ることが多いです。
もちろん参加者によっては、ピアノにハープに・・と、楽器勢揃いのジャムになることもあります。
ソロ回しの時間が長そうだなあ。(笑)
ジャムのステージに上がるプレイヤーが多い場合、ソロ回しの回数が増えるだけでなく、新しい面子もそれなりに加わります。
中には初心者の人や、おとなしいタイプの人などもいるので、自分のソロの出番に演奏した後、次のプレイヤーにソロを振り忘れる、という人もいます。
バンマス役になった人は、常に周囲のプレイヤーのソロ演奏の長さ(終わるタイミング)などを気にかけて、もし次に合図を送りそうな様子がなければ、バンマスが指揮に入りましょう。
あと、注意しなければならないのは、リズムセクションのソロです。
ベースとドラムに関して、これは、その時の状況や曲などによって変わります。と、いうより、ベーシストとドラマーの気持ち次第かな?
基本的に、ドラムのソロの場面はジャムではあまり多くありません。
1組3曲で演奏するとして、その3曲ともドラムのソロは無しということはとても多いです。
ベースに関しても同じです。
遠慮する人や、(やらない)という合図を送ってくる人が多いです。
ベーシストとドラマーにソロを振るときは、いきなり「どうぞ!」と、合図を送るのではなく(次、行きますか?)のような雰囲気の合図を、あらかじめ送って相手の意思を確認してからにしましょう。
やらない時は、小さく首を振ってくれます。
バンドのお父さん、お母さんとも呼ばれる立ち位置にいる、音の要的存在なのが、リズム隊であるベースとドラムです。
バンドサウンドの地盤をしっかり固めてくれる楽器のように、ベーシストやドラマーは縁の下の力持ち的な人格の方が多いです。
彼らは常にリズムをしっかりキープしながらも、トータルのバランスを見ているので、ボーカルやギタリストが走ってしまった時には、自分のソロなんかよりも全体のペースを揃えることに徹します。
また、ベーシストやドラマーがソロ演奏をする場合は、ソロ回しの最後に振られることが多いですよね。
全体的に楽器のソロ回しが長々しすぎた、ダラダラしすぎた・・・なんて場合も、ドラマーやベーシストがソロ時間を省き、ボーカルへと促すこともあります。
まさに、自由にやんちゃに遊んでいる子供たちを、最後にビシッとまとめるお父さん、お母さんのようですね!
ベーシストやドラマーにソロを振る前は、必ず、ソロを振る4小節前あたりまでには、(やる?)という感じの目配せを送って、意思確認をしておきましょう。
ジャムで大事なのは、何よりもコミュニケーション
バンドは家族です。
それまで、話した事もなく、初めて会うような相手が、同じステージに呼ばれ、即興で共演する事になります。
ブルーズのジャムの場合、だいたい3曲の演奏時間を与えられることが多いです。
板の上に立ち、それぞれ挨拶をして、曲やテンポの打ち合わせをしたらすぐにセッションスタート。
演奏開始までに、セッティング含めてせいぜい3〜5分くらい。
その時間で家族になれるの?
海外でジャムに参加するとしたら、言葉も違うのに?
はい、なれます!
家族になれないのならば、即興演奏はボロボロになっちゃいます。
音は、言語です。
プレイヤーにとってラッキーなのは、音って、多言語ではないこと。どの国に行っても通じるんですよ。
指揮だって、目配せや手でできますから。
テンポだって、体を動かして相手に伝えればいいんです。
そうやって身振り手振りをして、あとは音で示す、コミュニケーションはそれで十分成立します。
同じステージに上がった瞬間、挨拶して、相手をリスペクトする。
そして、一緒に音楽を楽しむ気持ちだけあれば、家族になれます。
ジャムにとって大事なのは、コミュニケーション、そしてミュージシャンシップです。
人間関係がギスギスしている職場は、作業も円滑に回りませんよね。
上司がピリピリしていたら、現場の雰囲気も悪くなりますよね。
仮に緊張してても失敗してても、笑顔で、そして素直に音楽を楽しむことだけ心がければ大丈夫。
プレイヤーの1人1人に笑顔で握手して「I am happy with you!」とでもなんでも、適当にハッピーが伝わるような言葉を伝えればいいんです。
たった10数分だけのステージ上の家族であっても、セッション仲間に「愛される人間」である事だけを心がけてください。
下手でも間違えても大丈夫、ジャムではみんな間違えたり失敗してますから!
それが、即興の面白さなんですから。
まずは王道のキーで、歌える(演奏できる)曲を探そう!
ブルーズの決め事を把握し、コミュニケーションが出来れば、あとは演奏するだけです。
不安ならコード弾き参加でも大丈夫です。ただ、ソロが回ってくるので、ネタは仕込んでおいた方がいいですね。
同時に、ボーカリストの方は、参加前に自身のキーを把握しておく必要があります。
例えば、冒頭で説明したスケールは「C」でシンプルにご説明しましたので、キーは「C」になります。
でも、3曲参加して全て「Key C」では、プレイヤー側が面白くないし、聞いている方も飽きてしまいますよね。
自分が歌う上で気持ちの良いキーをいくつか探しておきましょう。
ちなみに、ブルーズでプレイヤーから喜ばれるキーは、「E」、「A」(AmやA7など)、「Bm」あたりが多いです。
迷ったら、「E」か「A」で指定すれば、皆ウェルカムですよ。(笑)
で、肝心の課題曲。何を歌えばいいの?
その辺はまた別の機会に語りたいと思います。
正直なところ、なんでもいいんですよ、このブルーズ展開から外れなければ。
自分で歌詞をつけたって構いません。
王道に、BBキングあたりの曲を数曲レパートリーにしておいて、それから徐々にブルーズを開拓していけば良いのではないでしょうか。
ブルーズに限らず即興演奏の場面でボーカルが選曲するときは、これまで自分が練習してきたように「この曲歌いたいなあ」という選曲ではなく、「周りの誰もが知ってそうだなあ」という曲を選んでください。
自己主張やこだわりは控えて、周りが喜んで演奏してくれるような、バンド全体で共有しやすいものは何かということを考えましょう。
自分自身のオリジナルバンドや、ソロ活動の時は、自己主張してくださいね!(笑)
ハープや管楽器、ヴァイオリン等、オプション楽器奏者の参加があった場合は、先に「どのキーができる?」と、聞くのが良いと思います。
持参してないハープのキーだったら参加できないし、出せない音もありますからね。
だからと言って、周りにキーを委ねる・決めてもらうというわけではありません。
あくまで、キーの決裁者はボーカルやリード奏者。
周りの立場に立った上で考え、最後にはバンマス自身が演奏のスタイルを決めてくださいね。
「初参加なので自信がないな〜」という方は、予めジャムのオーガナイザーに初心者であることを伝えておけば、シンプルでやりやすいメンバーで組んでくれますよ。
ただ、こうして読んでみても、本当に初心者の方の場合はピンとこないと思います。
そういう時は、まずは現場を見てみること、そして参加することです。
まずはブルーズの曲を1曲だけ覚えて、1曲だけ参加してみる。失敗を体験しに行こう、くらいの気持ちでやってみるんです。
始まりは、無謀な一歩です。
次回もジャム参加のための準備を語っていきたいと思います。
ご一読ありがとうございました。
ジャム参加は3曲のレパートリーでOK!メジャーな選曲ほど喜ばれる理由って?