こんにちは。

前回の記事に続き、ジャムセッション(以下、ジャムと省略します)についてお話しします。

 

「ジャムって何?」と思った方は、宜しければコチラの記事にも目を通してみてくださいね!

ジャムセッションの参加をお勧めしたい理由〜ジャムのおさらいその壱〜

 

さて、ジャムに参加するための「事前準備」について、少しずつ説明しながら、準備に向かっていきましょう!

 

 

今回は、ジャムに参加するための「心の準備」として、少し参加に躊躇してしまう初心者の方でも、ジャムに参加し易くなるような、ジャムの雰囲気をお話しします。

 

一般的に、ジャムが行われている会場は、音楽好きのマスターが経営しているバーであったり、ライブステージが備え付けられてあるレストランであったりと、飲食店である事がほとんどです。(参加者の多いメジャーなジャムの場合は、イベントステージやパーティー会場で行われることもあります)

 

もちろん、どんな方でも参加OK!たまたま飲食に来ていたお客さんが飛び入り参加も可能だし、たまたま居合わせたミュージシャンが参加することもあるし、予め準備して参加するミュージシャンも沢山います。

 

ジャムイベントを仕切るオーガナイザーに、自分の名前を申請する事さえ忘れなければ、誰でも参加できる、自由なセッションタイムがそこにあります。

 

 

キャパは、(私の経験上では)20席〜80席(着席の場合)の規模の店が、比較的多いですね。比較的、小規模の会場、つまりアットホームな雰囲気の場所で行われる事が多いです。

 

友達を連れて訪れてみてもいいし、音楽仲間を誘ってもいいし、仮に一人で参加しても、自然に繋がりが出来る規模の会場がほとんどです。会場に来てる方のほとんどがミュージシャンか音楽好きのお客さん。隣り合わせに座った瞬間に、気軽に話せる上に、いろいろアドバイスなんかも貰えちゃうかもしれません。

 

お店によっては、ジャムイベントが名物になっている店もあり、そんな時は、店内が、立ち見客やミュージシャンでギュウギュウに混んでいる事もあります。

 

海外の場合は時に「盗難」に注意してくださいね!セッション中であろうが、お手洗いに立つ時だろうが、荷物は必ず手元に、「友人であろうとも絶対に信用しない」くらいの勢いで、注意してください。

 

この辺の、ジャム会場での注意点はまた改めてお話しします。

 

 

まずは「ブルーズ」に挑戦してみよう!

 

さて、一般客の誰でも参加できるセッションイベントには、「ジャムセッション」「オープンマイクセッション」コチラの二つがあります。

 

「オープンマイクセッション」については、基本的にソロ演奏の披露の場になりますので、また改めてお伝えするとして、バンドでのセッション、つまり、見知らぬ者同士が、即興で、いっせーのせ!で一つの曲の演奏を行うセッションは、「ジャムセッション」になります。

 

ジャムセッションの音楽ジャンルは、主に2つあります。「ジャズ」と、「ブルーズ」です。

 

まず、「ブルーズ」のジャムについて話しを進めてみましょう。

一般的に、ブルーズと聞いて、皆さん何を思い浮かべますか?

 

アフリカ系アメリカ人が、シカゴあたりの路上やバーで、ギターを弾きながら渋い声で魂を絞りながら歌う・・・そんなイメージをぱっ、と思い浮かべませんか。

 

確かに、ブルーズはまさに「魂の叫び」の音楽であり、孤独や悲壮感を表現したその歌の内容、そしてギターがメインとなったそのサウンドが特徴です。

そして、アフリカ系アメリカ人から発生した音楽であり、それがブルーズである事も真実です。特に、歌詞の孤独感というものは半端ない世界であり、ブルーズが生まれた時代背景や人々の心の中で葛藤する気持ちが現れており、ブルーズというジャンルで歌い上げる「物語」としては、そこは外せないものであるとは思います。

 

しかし、ブルーズは様々な形でそのスピリットが受け継がれていき、様々な民族のミュージシャンに演奏されています。

 

ブルーズのその悲しみ溢れる歌詞の内容からは想像できないような、カラッと明るい雰囲気のブルーズだって、存在するのです。

 

一般的に、我々日本人がバンドを組むと、ロックであったり、ファンクであったり、それぞれの目指すジャンルがあれども、基本は、ポップでキャッチーであり、日本語をベースとして曲を作り、演奏する事が多いですよね。

 

「いやいやいや、ブルーズなんて、敷居が高いよ。」

 

そんな風に思った方もいるのではないでしょうか。

 

(ちなみに、バンド活動を長く続けている方達はブルーズを消化している方がほとんどだと思いますので、あくまでコチラは初心者向けのお話しとして、活躍中のミュージシャンの皆様はご愛嬌にて、よろしくお願いします。)

 

ブルーズ、確かに言葉の響きだけ聞くと、かなり渋いイメージがします。

 

そして、なかなかに敷居の高く、高度な音楽であり、そんなジャンルのジャムに初心者が参加なんて・・と、思うかもしれません。

 

ブルーズを突き詰めるのは、簡単な事ではなく、確かに高度で高貴な音楽であることには間違いありません。

しかし、初心者で参加するならば、是非とも、ブルーズのジャムから入って欲しいと思います。

 

 

実は身近にあった?ブルーズの存在

 

実は、ブルーズって、最初に伝えたように、アフリカ系アメリカ人が渋く歌うような、その人の魂の叫びのような、ディープでソウルフルな、そんな雰囲気ばかりではないんですよ。

 

皆さんよくご存知のビートルズは、遠いアメリカの地から輸入されラジオから流れていたブルーズの音楽に影響を受け、とりわけブルーズの影響を強く受けたロックンローラーのチャックベリーからも大きな影響を受けてますよね。

あのローリング・ストーンズだって、クリームだって、ブルーズの影響から始まり、ブルーズ・ロックというジャンルを確立したバンドです。

 

つまり、私たちが今聞いている近代のバンドの「ルーツ」は、ビートルズやストーンズなどに代表される60年代のバンドサウンドに影響を受けたバンドであり、そして、そのバンドらが影響を受けたビートルズを始めとするバンドのルーツが、ブルーズ。

 

ポピュラー音楽の原点の一つが、ブルーズなのです。

 

我々が日常的に聞き、楽しみ、影響を受けているポップ音楽や、ロック音楽のルーツの、そのほとんどが、元を辿っていくとブルーズに繋がります。

ですから、すでに我々の心の中にも、すでにブルーズに馴染みがあり、ブルーズの魂が小さな形で存在しているんですよね。

 

先ほど例に挙げた、ローリング・ストーンズと聞いて、ストーンズファンや、音楽好きの方であれば、それがブルーズだと、誰でもわかります。

普段、邦楽の方に馴染みがあり、洋楽をあまり聞かない方に、突然ストーンズを聞かせたとして、一聴して「おっ、いいブルーズだね!」なんて、答える方がいるでしょうか?おそらく、ロックだね!って答えますよね。(確かに超格好いいロックなんですけどね!)

 

しかし、アフリカ系アメリカ人の渋いおじ様のアート写真が映ったCDを見て、その曲を聞くと、ギターでスロウに語るように弾き、歌い、なんだか切なくも激しくも感じる・・・そんな音楽を聴いたら、邦楽ばかり聞いている方でも、「ブルーズだね!」って答えると思います。

つまり、一般的に認知されているブルーズは、そのイメージの方が先に立っており、それがブルーズジャムへの敷居をぐっとあげているのです。

 

マディー・ウォーターズのようにギターを弾けないなら、ボトルネック奏法ができないなら、ジミヘンのリトルウイングのソロを完コピできるレベルじゃないなら、ブルーズジャムなんてとてもとても・・・なんて、そんな事はないのです。

 

ジャムはあくまでミュージシャンの音の交流の場。

 

もちろん、ブルーズバリバリの、ブルーズメンだって参加しているでしょう。でも、ブルーズメンじゃないからブルーズジャムに参加できないなんて事はありません。

 

イギリスの若者たちは、ポップバンドをやっていようとも、ブルーズのジャムに好んで参加します。腕慣らしのためだったり、勉強のためだったり。でも、その一番の理由は、自由に音楽を演奏する喜びのためにジャムに訪れているのです。

 

 

ちなみに、イギリスの若いバンドマン達って、本当に、ブルーズに馴染みがあり、消化している方も多いんですよね。それはやはり、文化背景の違いというのは否めませんが・・・

 

我々の頭の中には、先ほど例に出たマディー・ウォーターズをはじめ、BB.キング、アルバート・キング、ロバート・ジョンソンなどの、往年のブルーズの巨匠であり、そのブルーズ音楽を確立させた元祖のイメージしかありません。

 

もちろん、それらの音楽は素晴らしいので、ミュージシャンを目指すならば、どのジャンルを目指そうとも必ず、元祖ブルーズは一通り聞く事をお勧めします。

 

往年の巨匠達の奏でる音楽、ブルーズ。それがブルーズ。「本場の」という意味では正しいのですが、時が経つにつれ、マディーから影響を受けたミュージシャンが、次世代のミュージシャンに影響を与え、そのミュージシャンから、また次の世代が、そのブルーズルーツの音楽を受け継ぎ、ブルーズという音楽が、様々な民族により大きく広がっていく事で、色んな音や言語のブルーズが世界に広がっているのが現代です。

日本でも、憂歌団をはじめとするブルーズバンドが沢山います。

 

様々な表現のブルーズが世界に存在します。

取り分け、我々が普段、馴染み、聞いているロック、それらの曲に、ブルーズの定義で作られている曲は多く、実は知らずにブルーズを聞いていた、なんてことも多いんです。

 

ですから、ブルーズのジャムのイメージは、つまり、「ストーンズのライブみたいな感じ」を想像してください。(ストーンズのレベルという事ではありません)

 

そう、ロックで、明るくて、皆で絡まり演奏していて、激しくて、楽しい!そんな雰囲気であり、そしてなおかつ、初心者でも受け入れOKだという事。

そう聞くと、ジャムに参加し易く思えてきませんか?

 

ボーカリストにブルーズジャムをお勧めしたい理由

 

ブルーズだからと言って、ブルーズ歌詞を原語で歌う必要はありません。

 

もし、日本語の方が歌いやすいのであれば、勿論、日本語での歌唱でもOKです。

 

但し、日本語で、日本の歌謡曲を演奏したり歌ったりすれば、それは歌謡曲ですよね。笑

 

それに、海外でブルーズのジャムに参加する場合、日本語で歌うのもOKですが、言語や文化の違う外国人に、いかに日本で有名な曲を提示しても、セッションで演奏できる人なんて皆無です。

 

ブルーズの言語で歌おうとも、オリジナル歌詞を歌おうとも、日本語で歌おうとも、ブルーズであれば良いのです。逆に言うと、それがブルーズでなければ、何の意味もありません。

 

ブルーズには、ブルーズというだけのジャンルがあります。

 

そして勿論、ブルーズのジャムに参加するためには、ブルーズの基本的な「決め事」を守らなければなりません。

 

結構、簡単な決め事ですよ。

 

ところで、話しが変わりますが、歌手志望の方は、この記事を読んで、「奏者向けの話し?やーめた!」なんて思っていませんか?

 

ブルーズと聞くと、ギタリストを想像しますよね。確かにブルーズにおいてギターは重要であり、ほぼメインのパートです。ギタリストならば、ブルーズジャムの道は避けて通れません。

 

いえ、しかし、そんな当たり前の事は、わざわざ書きません!

 

おそらく、ギタリストに向けてのブルーズ推奨や、テクニックのお話しは、プロのギタリストさんで専門的にお話ししている方も多いでしょう。

 

ですから、その辺の詳しいアドバイスは、やはりギタリストさんの専門であると思いますし、私が書いていることは、右も左もわからないし、バックアップもバックグラウンドもないんだけど、とにかく勢いで挑戦してみた!・・・という、自身の経験から、未経験の方でも初心者の方でも、ジャムに挑戦してみようかな、って思えるような事を書きたいと思ってます。

 

 

実は、私はギターは、自分の伴奏くらいしか弾けません。笑

つまり、私はボーカリストとして、ブルーズジャムに参加しているんです。ですから、是非とも、歌手志望の方にこそ、読んで頂きたいです。

 

そして、バンドの中の奏者の方々が、そういったジャムに参加したり、即興演奏を楽しむ事は、日常的に行う方もいれば、通らねばならない道と考えている方がほとんどです。

 

これは私が当事者なので言えるんですけど、楽器を持たない歌手の場合、即興演奏に参加すると言う意識を持っている人が、結構少ないんですよ。(楽器をやっている方はそうでもないのです)

 

ですから、これから歌手を目指す方、特にポップスを歌われる方にとっては、「ブルーズ、ふーん」なんて、人ごとのように思うかもしれないのですが(笑)逆に、そんな方にこそ、ブルーズジャムに参加してほしいと思うのです。

 

私も昔、よくバンドに嫌味を言われたのですが(笑)、歌手って一番音を聞いてないよね、と。先ほども言ったように、楽器をやられている方や、基礎を勉強している方、声楽などの専門分野の方、プロの方は別です。歌だけ!と、その歌の技術を懸命に努力したり、習っている方。

 

歌は上手くっても、実は、周りの音を消化できていなかったり、いざ、バンドのフロントに立っても、「バックバンドの演奏に歌わせてもらっている」状態になるのです。

 

前回の話しでも少し触れた通り、例えバンドのギタリストがバンマスであろうとも、歌手がそのメインのメロディーを歌う以上、ボーカリストもバンドのマスターの一人でなければならないのです。

 

 

ボーカルトレーニングの一環として、次のステップに進もう!

 

歌が上手くなりたい、そう思って始めるのは、当然ながら歌の練習ですよね。

まず、一番最初に練習する時、どんな形で練習しますか?

 

自分で歌いたい曲や、難しい曲、課題曲のトラックを手に入れて、その曲を覚えて、スタジオやカラオケボックスで、トラックを流しながら、一生懸命自分の歌、声、音程を聴きながらトレーニングしてませんか?

それは間違ってはいません。大事な練習の一つです。

 

しかし、そのバックの音は、決められた形のトラックであり、それを流しながら歌っている際、歌を上達するために強い意識を持って聞いているのは、実は自分の声だけなのです。

自分の声ではなく、バックの音を聞いてます!という方は、きっと、プロの方や、本格的な音楽の勉強をされている方、あるいは音のセンスを最初からお持ちの方なのだと思います。

 

自分の声を聞いて歌いながら、感じたことや失敗と思ったことを、その都度、微調整するのもOK。

でも、歌いながら聞くその声は、空気に触れて、スタジオの壁に吸収されたり、そこに当たって返ってきた音です。

その微調整では、変わったつもりでも実は大して変わってなかったりします。歌は、録音してから聞き直す方が良いです。

 

自主トレーニングで自分の声を聞く練習をある程度極めているのであれば、次は、自分の声を聞くのではなく、相手の音を聞き、奏者の息の動きを読み、声を出さなくとも決め事がなくとも、ステージ上で奏者と意思の疎通が出来て、そして、自分が歌いたいキーやテンポで、盛り上がりたい箇所で歌う、その指示を出せる・・・そんな練習に進む事をお勧めします。

 

ボーカルオンリーで活動している方にも、ジャムは最適な場所であり、そしてブルーズというジャンルはとっても入り易いと思いますよ!

 

ブルーズの基本の決め事さえ守っていれば、ブルーズ歌唱が初心者のボーカリストでも、勿論参加できます。

 

次回は、ブルーズジャムに参加するにあたって必要不可欠な、ブルーズの「決め事」について語りながら、具体的に準備していきましょう!

 

ご一読ありがとうございました。

 

 

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