今回は、前回に引き続き、譜面台のお話しです。

 

前回は、バスキングに譜面台の持参は不要!その前に、ステージに譜面台の常設があるという安心感は捨てようというお話しでした。

共演したり、セッションで知り合ったイギリス人の中には、ステージ上で譜面をみながら弾き語り演奏する人がいないので、自分も譜面を見ながら演奏するのはやめました、というお話しでした。(笑)

 

イギリスの演奏会場では、譜面は見ないで当たり前ということなのか、譜面台などの備品を置いてると盗まれるからなのか(この理由もあると思います)、どちらの理由かはわかりませんが(笑)、譜面台の常設はありません。

 

見たらいけないというわけでは無いので、譜面が必要な場合は、自分で持参しましょう。

いざという時のために、携帯用の譜面台は1本持っておくと安心です。

 

でも、常設してないのが当たり前と思って、譜面の持参がいらないように準備しておく事が大事です。

 

イギリスだけじゃなく、イタリアの音楽施設にも譜面台の常設が無いんですよね。

 

当たり前に・・・ない!?

 

以前に、イタリアのコンサートホールで演奏した際のこと。

 

本番のセットチェンジの際、舞台でセッティングを始めたところ、マイクスタンドの横に譜面台が立ててあったんですよ。

「すみません、片付けてください」と、すぐスタッフの方にお伝えしました。

 

気を使ってセッティングしてくださってたのかもしれないのですが、譜面は不要だし、リハの際にリクエストもしてないわけなので・・・あ、普通にあるんだ、と思いました。(笑)

 

でも、譜面台は、見た目的にもよく無いし、邪魔ですからね。

 

その時の一回だけは、イタリアで譜面台が常設してあるステージを見たわけです。

 

イギリス、イタリアのステージに譜面台の常設はないのが当たり前

 

また全く別の機会に、別のイタリアのホールに出演した時のことです。

 

どうしても演奏したい曲が急遽できてしまって。

 

直前に決めた曲なので、完全に頭に入ってなかったんですよね。

 

その、譜面が置いてあったイタリアのステージの時のことがぼんやりと記憶にあったからかどうか、念のためにと譜面を持参したんですよ、携帯用の譜面台も持たずに(笑)

 

常設してあるんだろうという意識が少しあったのでしょうね。

 

ところが。

 

リハの際に舞台やバックステージを見渡しても、譜面台の気配はなし。

 

「譜面台ありますか?」なんて野暮なことは聞きません。だって、どう見ても無いんだから恥ずかしいですし。(笑)

 

譜面のことは忘れて、ステージに挑みました。密かに頼ってたので実は不安でしたけどね、結果、なんとかなりました。(笑)

 

他の演奏の際も、イタリアのライブ会場などで譜面台の常設はみたことがないですね。

 

実は、最初に話したイタリアの舞台では、オーガナイザーが日本の方だったんですよね。

 

念のために、備えとして常設するのが日本では普通です。そして、譜面台の常設があると安心ですし、あるのが普通という頭が私たちにはあります。

 

しかし、イギリスとイタリアでは、譜面台の常設があるのは、レコーディングスタジオだけです。

 

演奏会場に譜面台は常設していません。

 

イギリス人もイタリア人も、ステージで譜面を見る(または、譜面台を使うかもしれない)という意識が最初から無いのですよね。

 

うらやましい!ヨーロピアンのミュージシャン気質って?

 

また、イギリスやイタリアの仲間から、ステージ本番前に、緊張や不安の声を聞いたこともないですね。

 

例えば「曲覚えてないなあ」「譜面みようかなあ」みたいな声を聞いたことも無いです。

 

私の仲間のイタリア人で、普段は弾き語りをやらないような歌手の子が、「新曲をアコースティックの弾き語りで明日披露する!」と言って、前日にその弾き語りを聞かせてくれたことがあったんです。

 

ところが、演奏の途中で止まっては「あれ?この歌詞だったっけ?」「あ、間違えた」とか呟いたりしてたんですよね。

 

そして、中途半端に聞かせられたまま、そのまま友人は外に遊びに行きました。(笑)

 

明日大丈夫かあ?なんて思っていたら、本番当日、間違えることもなく、余裕で演奏してたんですよね。

 

イギリス人の仲間も同じような感じでした。

あるショーのツアーにて。数十曲という長時間の本番のステージ上で、いち楽器の不具合というアクシデントが出たことがあったんです。

 

その不具合となった楽器を次の曲で持つはずだった友人が、アクシデントにテンパることもなく、すかさず別の楽器に持ち替えて「じゃあ、急遽この曲をやります」と、数曲、ぱぱぱっとカヴァー曲の演奏を始めたのです。

 

驚くのが、周りのバンドも「ほいきた!」みたいな感じで、ぱぱぱっと、その即興のカヴァー曲の演奏をやるんですよね。

 

一曲では無いですよ、確か3〜4曲くらいだったかな?トラブルが起きてる間、通常は予定していない曲を演奏してました。

 

しかも、完璧なクオリティーで。

 

その彼らも、本番前日も普段と全く変わらず普通の生活をしてます。むしろ、本当に本番控えてるの?くらいの雰囲気で、全く普通に・・・というよりも、騒いでいました。(笑)

 

日々ツアーで回っていたら、毎日演奏することなんて、当然になってくるのではありますが・・・

 

いよいよ明日!と思わせる緊迫感とか、念のために持参しておこうとか、間違えたらどう対応しよう、とか、もちろん、必要以上の打ち合わせも無し。

 

不安や緊張の色は一切無いのです。

 

何なんだろう、彼らって・・・と、うらやましくなる時があります。

何も考えてないだけ?

 

もしくは、曲が、音の全てが身体に消化しきってるのが当然なのでしょうか。

 

何も考えてない、全てが消化しきってるから、その両方が正解かもしれませんね。

 

直前にどうこう準備する何ていう事は、あまり考えたことが無く、いつもやってることをやっているだけ、という感覚なのだと思います。

 

つまり、いつもやっていないとマズい、ということにはなるので、練習しかり、ステージしかり、毎日やっているという事ですよね。

 

さて。

 

これらの、イギリスとイタリアでの話し。

譜面台の話しは分かったけど、どこがバスキングに関係あるんだ?って思います?

 

はい、バスキングとは、つまりは「こういうこと」なのです。

 

緊迫してやることでもなく、構えることでもなく、前日に準備に準備を重ねることでもなく、不安と戦いながらやるものでも無いのです。

 

当たり前のようにいつもやる事のひとつなのです。

 

 

だから、譜面台はバスキングにはいらない!

 

携帯用の譜面台。

 

1本あると便利ですよね、いざという時に。

バスキングに持参すれば譜面も見られるし?

 

・・・いえいえ、バスキングには不要です!

 

無駄になるので、持って行かないでください。譜面台なんて、荷物になるだけですよ。

 

そういう私も、新人の頃に譜面台を持参してバスキングをやったことがあります。(笑)

 

だって、最低でも4時間の演奏ですよ!場が持たないと思うじゃ無いですか。(笑)

 

でも、すぐに不要であると気付き、譜面台持参をやめました。つまりバスキングに譜面を持参することで安心感を持つことはやめました。

 

まず、物理的に無理なんです。

 

バスキングは路上演奏ですからね。

実際にやってみてください、風ですぐ譜面が吹っ飛びますよ。

譜面台だって倒れます。

 

それでも、何度かは色々試行錯誤しました。譜面台の足の上に重みのあるバッグを置いたり、譜面を大型のクリップで譜面台にしっかりと留めたり。

 

まあ、無駄ですよね。また倒れますよ、次の強風で。(笑)

 

突然雨が降ってきたらどうしますか?

 

せっかくの譜面台が水滴でぐちゃぐちゃです。

 

だから、無駄に持参するということは、すぐにやめたのです。

 

 

「バスキング姿」の美しさは重要。自信があるように見せる事も大事

 

譜面台がバスキングに不要であることは、物理的には先ほど話した通りですが、まず、視覚的にも見苦しいですよね。

 

バスキングの見た目がよろしくないです。

 

不安な曲の時だけスムーズに譜面をめくったりできれば別ですが、1~2曲毎や、不安な際に、譜面を変えるたびにガチャガチャとクリップで留めたり、風が吹いてくるたびに譜面台を足で押さえたり。

 

美しくないです。(笑)

 

バスキングをやる際に、服装を綺麗にする必要は全くありません。衣装を揃えることも、バスキングのピッチ周りを飾ることも不要です。美しく見せる必要はありません。

 

ただ、演奏曲が変わるたび、譜面を見るためにゴソゴソとやっていること、これは美しくないのでやめてください。

 

バスキング中の立ち姿(座ってもOKです)、演奏姿というのは大事です。

そこは、美しく見せましょう。

 

これはステージでも同じなのですが、やはり、正面をみて歌う、お客様の方角を見て歌うというのは大事です。

 

うつむきながらギターの手元をずっと見て弾き語るよりも、斜め横に置いてある譜面台をチラチラ横目で追いながら歌うよりも、例えお客様である通行人の人たちが誰もバスカーを見ていなくても、目の前を通るお客さんをしっかり見て歌うべきです。

 

うつむいたり、横目で何かを追っている姿は、自信がなさそうに受け取られても不思議ではありません。

 

「あっ、いい演奏だな」「次は何の曲かな」なんて通行人の方が思っている時に、譜面のページを変えたり、その曲の譜面をゴソゴソ探したり。せっかく期待しても、そこで音が止まってしまっては、ちょっと冷めてしまいます。

 

間違えても下手でも、笑顔で顔を上げて歌っている姿の方が、よほどいいです。

 

一回一回、手を止めて譜面をめくりながら演奏するよりも、一曲を終えたら素早く次の曲に入るなど、スムーズに曲を変えて、曲間を空けない方がいです。

 

もちろん、その方がチップも入ります。

 

譜面を変える際、MCで時間稼ぎなんて絶対ダメですよ!(笑)何度も言いますがバスキングにMCは不要です。

 

演奏の音が途切れなければ途切れないほど良いのがバスキングです。

それを、何時間も続けるのがベターです。

 

間違えても下手でも何でも、自信を持ってやることが大事。

その自信が「なんちゃって」でもいいのです。堂々としていれば。

 

バスキングでもステージでも同じです。

 

自信があるように見える=お客さんは安心して聞ける。

 

曲が身体に消化されている=(間違えたらどうしよう、譜面を目で追わなきゃ!等)無駄な意識が働かないため良いパフォーマンスができる。

 

試しに、譜面台見ながら4時間くらいバスキングしてみてください。

何回かは、通行人からジャッジが入ります。(笑)

 

では、譜面台なく、曲のリストアップなく、どうやって4時間や6時間、バスカー等は演奏しているのでしょう?

 

次は、稼げるバスキングの選曲についてお話ししたいと思います。

 

See you very soon!