バスキング(路上ライブ・ストリートパフォーマンス)でよく見かける基本的なスタイルは、ギターを持って歌う、弾き語りスタイルですよね!

 

バスキングには色々なスタイルがあり、いろんなパートのバスカーが存在します。

 

楽器を使わないバスカーだって、歌を歌わないバスカーだっています。

 

しかし、今こちらの記事をお読みで、「バスキングにトライしたいなあ」と考えている方はきっと、弾き語りのスタイルでお考えの方が多いのではないかな、って思います。

 

実は、屋外で行うバスキングという活動で、体力的に一番ハードなのは、「歌うパート」でもあるのです。

 

風邪をひいて鼻声で歌うと、それがそのまま、自身の楽器である「声」に反映しますよね。

 

また、体調が悪かったり、喉を潰してしまうと、その楽器(声)そのものが全く使い物にならなくなります。

リスキーなパートですよね。

 

喉のケアというのは、通常のライブやレコーディングでも全く同じ事なので、ボーカリストさんは常にお考えの事だと思います。

 

しかし、バスキング活動で毎日2〜6時間歌うということは、想像以上のハードさ。

 

例えば、バスキングを週1回、2時間のセットでやるという方は、特に問題ないかと思います。通常の、ライブで喉を使う感覚で問題ありません。

 

今回は、「日々日々、バスキングにトライしてみたい!」という、歌うバスカーに向けてのお話しとなります。

 

 

 

実はハードだった、バスキング市場でのボーカルパート。

 

リスクを最小限に減らす事のできる方法があります。

 

前回、バスキングのアンプ使用についてを少しお話ししましたが、今回のお話しにも少し関連するので、よろしければこちらもどうぞ!

 

 

ボーカルは、生バスキングに要注意!

 

バスキングで歌う場合、アンプやマイクを通した方がオススメです。

一般的に「マイクを使うもんでしょう?」って思っているかもしれません。

しかし、それは、バスキングをプロモーションのパフォーマンスとしている場合、ステージとしておこなっている場合の事です。

 

海外でもマイクを使っているバスカーもいますが、それらは「使うことを前提として」公共の場所から許可を取っている場合がほとんどです。

基本的に、歌は生歌が望ましいとされていますので、「生歌、生アコギバスカー」の方が一般的なのです。

 

なぜなら、アンプを通すとそれだけボリュームが出ますから、クレームに繋がりかねないんですね。

 

しかし、環境が許すならば、マイクを使い、アンプを通して声を響かせた方が良いです。喉のためですね。

 

屋外での生声歌唱というのは、相当ハード。喉の弱い人は1〜2時間で潰れる可能性もあります。

 

また、長期続けていると、ポリープが出来たり、声が出なくなる可能性もありますので、喉が弱い人や美声を維持したい方は、マイクを使った方が良いかもしれません。

 

ボーカリストは、あまり生歌でバスキングをやり過ぎない方がいいと思います。

 

野外で歌うというのは、音の返りがない場所で歌うということ。

遮る壁も囲いもないので、音が反響しない・どんどんと逃げていくのです。

路上の雑音に声がかき消されてしまうこともあります。

そうすると、スタジオやライブで歌う通常よりも、自分でも気がつかないうちに、無意識に声をいつもの3倍くらい大きく出してしまってる可能性があるのですね。

 

さらにそれを一息入れずに何時間も何時間も歌っている・・・

相当な負担。

気づかないうちに、喉もお腹も、身体ごと労力を使いまくっていると言うわけです。

 

しかも、外なので環境はすごく悪いです。

スモッグの不安もあるし、ホコリは舞ってるし、大勢の人が行き交うのでいろんな菌やウィルスも飛んでるかもしれません。

 

 

空気中の環境は仕方がないことではありますが、アンプを通してマイクを使うことで、体への負担は減らせます。

通常のライブと同じ感覚と変わらない体力で、バスキングで歌うことができますよ。

 

 

私の声は、あまり癖がない澄んだ声のため、ロック大好きな私にとって、以前はそれがとてもコンプレックスでした。

 

声を潰したくって、毎日スコッチをストレートで飲み、5時間発声し続けるという無茶をしていたこともあります。(危険なので絶対に!真似しないでください!)

しかし、どれだけその危険な発声を続けても、ポリープすらできず、全く声がしゃがれてくれない・・・という過去があるほど、かなり強靭な喉なのです。

こういう人、他にも結構いると思います。ただの体質ですね。

 

それでも、初めてバスキングを行なった日から、毎日毎日4〜6時間、時に10時間と、弾き語り演奏を続けていたら、一週間に1度は声が出なくなる(ほとんど歌えないくらいのカスカス声)ということが、約1ヶ月くらい続きました。

そして、2ヶ月くらい経った頃には、嬉しいしゃがれ声になってくれたものの、3ヶ月くらいまでは、いつ声が枯れるか不安な感じではありましたね。

 

当然、その間は、好きなジャズ曲の繊細なメロや、クリーンな曲を歌えませんでした。(涙)

 

周りも「その声、どうしたの!?」と言うくらい、ロッドスチュワートばりのハスキー声になったので、嬉しい反面、歌えない曲も出てくるので、やはり喉を痛めるのは良くないと痛感。

 

結局、3ヶ月を超えた頃には、元の声に戻っちゃったんですけどね。

 

今では全く潰れません。それを繰り返していた事で、更に鍛えられたのだと思います。

 

その初期の3ヶ月は、このまま声が出なくなるんでは、くらいの危険と、そのしんどさまでは体験したので、やはり、ボーカリストにとってハードな環境は避けた方がベストだと思います。

 

喉や声って、元々の持っている本質があるので、歌が上手くなる、ならないのスキルとはまた別に、大元の喉や声というのは、そうそう変わるものではないようですね。

喉が潰れない人は潰れないし、潰れやすい人は潰れる。

 

美声を維持したい方は、生で歌うなら、きちんと自分の限界の手前の時間を知り、決め事を作ってやる方が良いです。

 

毎日毎日、長時間のバスキングをやりたいのであれば、アンプを通してマイクで歌うこと、それもあまり力を使いすぎない曲を選ぶことをお勧めします。

体力の消耗具合が全然違いますよ!

 

但し、ここでの内容は練習やステージ上の話しではなく「あくまで路上で」「喉や身体に負担をかけずにチップの入りをよくするため」のお話しです。

スタジオで練習をする場合は、思いっきり難しい曲や、思いっきり声量を出せるような、自分のレベルよりも上にいくような曲を課題として選んでくださいね!(笑)

 

喉や体調のコンディションが如実に現れる楽器パート、ボーカル

 

知人に、生声でオペラ歌唱を披露するバスカーがいます。

彼女は、バスキングは1日2時間、週に3回まで、と決めています。

 

どれだけチップがザクザク入る繁忙期であっても、時間が来たらスパッ!とやめるそうです。

 

生声での歌唱の最高峰であり、誰よりも強靭な喉を持つオペラ歌手でも、ホールで歌唱することと、バスキングとして歌う場所との環境の違いを把握し、無謀なことはしません。

ロックやブルーズならば、万が一声がしゃがれてもシャウトすればいいけど、オペラ歌手の場合は、致命的になってしまいます。

 

それでも彼女は節度をもってバスキングを続けていますが、周りから止められてるようですね。(汗)

万が一、喉がやられたら大変ですから、本当に心配されているようです。

 

先ほどチラリと話したように、環境的にホコリや菌も本当に凄いんですよね。

数時間バスキングを行なった後で鼻をかむと、ティッシュが真っ黒になります。(少し汚い話しですみません!)

 

歌うバスカーだけでなく、どのバスカーも、うがい、手洗いをしつこいくらいマメにやってます。

バスキングをやる人、特に歌の場合。

うがいと手洗い。これはしつこいくらいやってください。

 

免疫がつくので、風邪を滅多にひかなくなるのも、ある意味メリットですかね。(笑)

私もバスキングで必要以上にうがいをしてるおかげか、ここ数年、風邪をひいた記憶がありません。

 

はじめた当初は、寒いわ、しんどいわ、空気が悪いわで、風邪をひいたり、ダウンしそうになる事もありましたが、全くなくなりました。

 

よく、「バスキングをやることで歌の練習になるからいいよね」という人がいますが、全然!

逆ですよ、路上で練習しようと思って力を入れると、喉を痛めて余計下手になります。

 

練習は、スタジオでしたほうがいいですよ。(笑)

 

バスキング市場では、ちょっぴり不利なパートって?

 

余談ですが、百害あって一利なし・・までは大袈裟ですが、バスキングで「体力を使う割には、割に合わない」と言われる楽器パートがあります。

 

肺活量を使う、管楽器(サックスやフルートなど)と、声楽(弾き語りを含む、自分の声を楽器とする歌手)、この二つの縛りのパートです。

 

人々にとって、声には好き嫌いがあります。

 

その歌が上手いから人々皆が好きと言うわけではありません。

聞いてて心地よい声と、そうでない声が、やはり人それぞれに違うのです。

 

そして、管楽器は生演奏でかなりの音量を出します。人々が、はっ!とそれに気づく音の強さがありますよね。

 

人々のフィーリング次第では、それらの大きな音や、好き嫌いのある声を聞くのがキツイというときもあるんです。

 

ですから、管楽器系と声を使うバスカーは「一番チップの入りが悪い」と言われてます。

 

万人受けするバスカーと言うのは、主張や個性がなるべく出過ぎず、人々がBGMとして、さらっと聞き流せるクリーンな演奏をしているバスカーなんですね。

 

ジャンルで言うなら、断然クラシックです。

ハープ奏者や、クラシックギタリストは苦手とする人が比較的少ない音を出すので、やはり強いですね。

 

歌有りのギター弾き語りよりも、歌がないギターだけの演奏、つまりインストが好まれます。

同じギター演奏でも、ロック演奏のギタリストより、クラシックの方が好まれます。

 

歌で言えば、オリジナルよりもカヴァーです。

カヴァーでも、ロックやソウルなどの歌い上げるような曲よりも、ボサノヴァなどのジャンルを優しく歌う方がチップが多く入る可能性があります。

 

ロックを聴きたい!という人はもちろん沢山いるはずです。

しかし、万人がBGMとして聴けるということが前提になれば、カフェで流れていても会話の邪魔にならない、人々がのめり込まないくらいの演奏や歌の方が、バスキングでは喜ばれるんですよ。

 

バスキングが行われるのは、公共の場、人々が行き交う路上です。

そこを通る人たちの皆が皆、音楽を聴こう!と言う心構えで通っているわけではありません。

 

気分がイライラしてる時や、静かな場所を求めている人にとっては、音楽の全てがプラスに受け止められない事だってあるのです。

 

自身のステージでは、主張や個性がとても大事になります。

しかし、バスキングとなると少し違い、そこに自分の主張や個性は不要なのです。

 

管楽器やボーカルを軸として行うバスカー達は、ライブでいくら人気があるミュージシャンであろうとも、ひとたび路上に出ると好き嫌いが真っ二つにわかれてしまうパートなのです。

 

しかし、これらのパートはその割には、体力の消耗が一番激しいんですよね。

それは、身体そのものの内側から消耗していく楽器であるから、つまり肺活量を使うからです。

 

他の楽器のバスカーと同じ時間演奏しても、チップは半分で、体力は倍、というイメージです。ちょっと割に合わない感じですね。

 

イギリスでもギター弾き語りのバスカーの比率は高いですが、その中でも、生声でバスキングを行なってるバスカーに会うと、みんないつもぐったりした顔をしています。(笑)

 

生歌バスキングは、やりすぎ禁物です。

 

ギターを弾き続けて指に穴が開いたりすることもあります。当然それらも痛いし、私も指から血を出したことがありますが、何ていうんでしょう。身体の内側を使った疲労というのは、そういうのとは違ったキツさなんですよね。

正直、長時間休みなく歌い続け、歌い過ぎる事に伴う疲労は、かなりしんどいですね。

 

10時間までやらなくてもいいですけど、仮に4時間、6時間、自分が外で大声でずっと休む間なく叫び続けていると想像してください。

管楽器奏者もボーカルも肺活量を使っていますから、そんな感じイメージして声を出してみてください。

最低でも4時間以上、それを毎日ですからね。

 

バスキングで少しでも体力消耗を避けたいなら、肺活量を使わないパートで挑む方がベストです!チップもたくさん入りますよ。

 

 

私は自分がバスキングをやるようになってから、歌手や管楽器奏者のバスカーが演奏しているのを見かけると、すかさずチップを入れてしまいます。

 

ぐったりしつつも、笑顔を維持してバスキングする姿を見て(お察しします。涙)と、心で呟きながらチップ入れてます。(笑)

 

 

バスキングはパブリックで不特定多数の人に見守られている、耐久レースです。

少し割に合わないパートとして、管楽器奏者や、弾き語り・ボーカルを一番にあげましたが、ドラムだってギターだって何だって、長時間演奏をすれば、相当な体力を消耗します。

 

体力だけでなく、精神力だって使いますよね。

 

 

 

バンド活動などで音合わせやリハーサルをしている時も、それぞれのパートが自身の状態を管理しながら、相手にコンディションを伝え合うことも大事ですよね。

メンバーの演奏に変化があったり気になった場合も、意見を伝えて互いをケアしていくことが、常にベストな演奏を続けるためにも必要だと思います。

 

バスキングの場合は、たった一人で行うわけですから、気づかすに無理をしがちです。

そこは要注意なので、どんなパートでも、バスキングを行う限りは自己管理をしっかりしないと、体を壊してからでは遅いです。

 

音楽を演奏するにも歌うにも、どんな仕事をしていても、まずは身体が資本ですしね!

 

お互いに、健康管理に気をつけながら身体の部分のケアをしながら、良いバスキングライフを楽しみたいですね!

 

 

また次回にお会いしましょう。