現代人はシェアが好きだ。

ソーシャルメディアだけではない。住居までもが全くの赤の他人と共有するのがおかしくない時代になってきている。

 

前回は、日本のフラットシェアについての主観や体験談を少しだけ語らせて頂いた。

 

シェア文化を生き抜く Vo.1シェアしたいわたしたち 〜人間が好き、出会いが好き〜

 

今回はイギリスについて少し語ろうと思う。

 

まず、イギリスでは、家やマンションなど殆どのタイプの住居のことを「フラット」と呼ぶ。

 

日本では住居のシェアは「シェアハウス」となるが、イギリスでは「フラットシェア」と言う。

 

イギリスのフラットシェアという言葉に、日本のシェアハウスのようなポジティブなインパクトは無い。

フラットシェアをしてるのよ、と伝えたところで、「あ、そう」その一言で終わりである。

 

普通だ。とっても普通のことなのだ。わざわざ言わなくても良い、ネタにもならない話題である。

なぜかと言うと、家賃の高いイギリスでは、3LDKや4LDKの住居の部屋を「間借り」して、他人と暮らすことはごく普通のスタイルなのである。

 

日本では、学生や若いビジネスマンはマンションで一人暮らしの方が普通であるが、イギリスでは「フラットで一人暮らし」と言う方が、ええっ!と驚かれる。

 

ひと頃では「30歳を迎えるまでに親元を離れ、不動産を購入すれば一人前」と言われていたイギリスでは、30歳を過ぎた男性が自分のフラットを持っていない事を、あまり声を大にして言うべき事では無いのかもしれない。

 

だが、時代が時代なので、30歳で不動産を持っている人も少ないとは思うが、独身者であろうと若くから親元を離れ、フラットシェア生活を始めることはごく普通であり、大半の人はそのままフラットシェアを続けている。

 

 

余談ではあるが、ポールマッカートニーが、今も観光名所となっており所有しているセントジョンズウッドの家を購入したのは、27歳の時。当時のロンドンで、セントジョンズウッドのような高級ポッシュエリアに20代で家を持ったのは、ポールが初めてだったとか。

 

余談ついでに、イタリアでは、安定職を持つのがなかなか難しいため、アパルトメントを安易に借りたりシェアするよりも、実家で暮らせる限り暮らす人が圧倒的に多いらしい。

実際に、私の友人たちも30代でもほとんどが実家住まいだが、その中でアパルトメントを購入した友人は、女性の口説き文句に「僕、家を持ってるよ」と言う台詞を使っている。これが、効果覿面らしい。

 

マザコンが多いなどと言う噂や、勝手な誤解を受けることが多い理由の一つに、実家住まいの若者が多いと言う事もあるのかもしれない。

実家で暮らすことはつまり、支出を抑えるため。節約のためなのである。

 

イギリス人だって同じだ。フラットシェアをするのは、節約のため。

 

しかし、本当は、一人優雅にテラスでハーブを植え、他人を気にせず時間をかけてのんびり料理を楽しみ、パンツ一丁や全裸姿でうろうろしたいと思っているイギリスの若者だって沢山いるはずだ。

 

イギリスではフラットをシェアする事はごく当たり前の文化として歴史に根付いている。

 

イギリスでも、フラットシェアしている人ばかりではない。

持ち家や自分のフラットを持つ人や、優雅に一人で暮らす人だっている。しかし、それは少数であり、ほとんどがシェア生活をしている。

 

それは、親元を離れた時から始まり、年齢も様々で、50、60歳になってもフラットシェアをしている人も多い。イギリス人にとって、共同生活は慣れたものだ。

 

しかし、イギリスはインディペンデント=独立精神を好む国である。アメリカから来た大学生が「イギリスってなんかみんな冷たいよね」と、つぶやく人も多いように、イギリス人は一見、クールであり他人にはあまり構わないところがある。その実、仲良くなればとても親切な人が多いのだが、それは置いておいて。

 

人に構わない民族なのに、共同生活が慣れたものとは矛盾しているように思うが、実は、人に構わない事こそが、共同生活で一番重要なポイントなのだ。

 

どんな住まいがある?

 

まず、イギリスの住宅事情にランクをつけてみよう。

 

  1. フラット
  2. スタジオフラット
  3. ベッドシット
  4. フラットシェア
  5. ルームシェア
  6. スクワット

 

上記の細かい説明は後に回し、ざっと賃貸事情を語りたいと思う。

 

イギリスの賃貸は、家具、寝具(ベッドや布団、枕など)、電化製品などすべて込み。

大家がすべて揃えてあるところに身一つで入居できる。また、例えば冷蔵庫やオーブンが壊れた際も、大家に申請すれば新しいものを購入してくれる。

 

イギリスの家賃は、Week(週表示)なので、週当たりの家賃も参考までに記してゆくが、Zone2界隈(中心地から近すぎず遠からず)の、あくまで一例なので、それがジャストと言う金額ではない。その辺はご愛嬌にて。

 

レートは、この執筆時点(2018年半ば)で1ポンド=145円で表記したいところだが、レートの変動もあるので、読んだ時点のレートで適度な計算をして頂ければと思う。

 

ちなみに、私が渡英した時点は、最大で1ポンド=260円まで上がったので、例えば月家賃が500ポンドなら、13万円ということになる。日本人なのでやはり頭の中は常に日本円と比較してしまうのだが、円換算すると倍以上の計算であったため、物価のすべてに驚きを隠せなかったため、140〜160円を行き来しているこの数年には、なぜかしら優しさを覚えるほどだ。

 

そんな無駄なことを考えないためには、現地人の感覚で、1ポンドを100円と思って使うことをお勧めするが、そう考えると、イギリスのサラリーはとんでもなく安いような気もしてくるので、なんとも微妙なところではある。

 

契約期間は、不動産を通した場合6ヶ月契約の1ヶ月ノーティスが一般的であるが、ベッドシットやフラットシェアに関しては、1ヶ月ノーティスで自由に出れるところ(例えば入居して1ヶ月経ち、その1ヶ月後に出るなど)や、次の住人を自分で紹介すれば、即日でも退室できるところもある。この辺は大家との交渉や条件次第。

 

入居の際に、礼金などというものは発生しない。

基本的には、週家賃を1ヶ月分に換算し、1ヶ月分をデポジットとして渡すのみ。計算は簡単である。週家賃×52週÷12ヶ月。デポジットは、よほどのことがない限り、退室の際に丸々返してもらえる。

 

このデポジットを利用して、即日、新しいフラットを探し、次の住居が合わないなと思ったら、またそのタイミングで出ることができる。

 

自身の経験上での偏見ではあるが、数字王国インド系のイギリス人(つまり見た目インド人)が経営する不動産は、なかなかやり手である。巧妙な手口でデポジットを返却しなくても済むような契約書を作成していたり、実際に部屋をチェックして修理費を差し引いたりするため、注意が必要だ。デポジットが丸々返却されないか、根気よく交渉して数パーセントのみ返却されるかのどちらかである。

インド系の不動産は避けるべき、と言いたいところであるが、トラブル対応は驚くほど早いので、良い面も大いにあると言える。

ガス、電気等をはじめとする家のトラブル対応に、純粋なイギリス人の大家や不動産が動き始めて回復するまでに約1日〜5日(対応する相手により異なる)かかるのに対し、インド系イギリス人は、ヘルプの電話をしたら1時間後にフラットに現れ、3分くらいで修理をする。

 

私も以前にインド系イギリス人経営の不動産からフラットを借りていた事があるが、ある日突然洗濯機が壊れ、出かける前に不動産に連絡を一本入れ、バスに乗り込んだところ、走り始めて10分後に折り返しの連絡があり、「今から新しい洗濯機を持って行くから」と言われ、慌ててフラットへ引き返したことがあった。

フラットへ戻ると、すでに2名のインド人がドアの前で待ち伏せており、即座に新しい洗濯機を取り付けてくれた。更に驚いたのは、取り付け作業の途中で更に2名のインド人が洗濯機を持って現れた事だ。

どうやら、早期解決対応のため念には念を入れてか、大家が二つの業者に連絡を入れ、その両方が即座に到着したと言う事らしい。

 

後から来た業者は「先を越されたなあ!はっはっは。」と笑い、先に来た業者の取り付けや、壊れた洗濯機の撤去作業を手伝い、仲良く4名のインド人が私のフラットを後にした。

 

 

さて、そんなこんなで、賃貸事情は日本に比べて極めてお気軽だ。

 

しかし、厄介なのが、家賃である。日本円に換算すると、なぜこんなに家賃が高いのか、と驚いてしまうが、先に述べたように、1ポンドを100円のように使っている現地の感覚からすれば、家賃も標準的でさほど驚くものではない。

 

しかし、そこにサラリーが絡んでくると、これまたややこしくなる。企業勤めやバンカーなどの給与の現状は私には推測でしかわからないので控えるが、周りの知人が勤めている一般的なオフィス勤務やサービス業などでは、月に1300ポンド〜1800ポンド、学生がアルバイトで稼ぐ額は、大体500ポンド〜900ポンド程度である。

これを1ポンド100円の感覚で受け取ると、かなり低く思える。何れにせよ、収入を考えての家賃の支出がほとんどを占めていることになる。

 

 

  1. フラット
  2. スタジオフラット
  3. ベッドシット
  4. フラットシェア
  5. ルームシェア
  6. スクワット

 

では、改めて上記を説明する。ちなみに私は、6のスクワット以外、1〜5まで住んだ経験がある。

 

イギリスの主なプレイス・スタイル

1.フラット

 

フラットは1K、DK、DLK〜数部屋まで、いわゆる、日本でいうマンションを指す。独立バスルーム、トイレ、キッチンのほか、きっちりと寝室とリビングなどが分かれている。洗濯機も勿論付属している、家らしい家と言える。

4LDKに家族で住んだり、1DKに一人で住む。例えば、3LDKのフラットを借りて、それを友人3人とシェアをすれば、フラットシェアとなる。1Kまたは1DKで大体、週200〜250ポンドで探せる。

より良い部屋をと思えば、それ以上の値段を。3部屋以上になると、2000ポンド以上。個人契約になるため、タックス申請、ガス、電気、水道、テレビのライセンス、ネット環境などは自らの契約、手続きになる。マンションと全く同じ。

 

 

2.スタジオフラット

 

日本でいう、簡易的なワンルームマンションの事。キッチンが独立しておらず、部屋の中にコンロや冷蔵庫がある物件。シャワー、トイレなども勿論、専用のため、他の住人とのシェアは一切なし。安いところであれば150〜200ポンドくらい。洗濯機の有無は、物件による。基本的にフラットと同じく、水道、電気周りやネットの環境は自身の契約、手続きになる。

3.ベッドシット(お勧め!)

 

部屋の中に、キッチン、冷蔵庫、流し台のみついている、半ブライベート型のシェアルーム。バス、シャワー、トイレ、洗濯機が他の住人とのシェアになる。

ネット環境は物件によるが、基本的に大家が一括して水道とタックス管理をしているところが多い。電気は、コイン式メーター(1ポンドコインを直接メーターに入れて電気を動かす)を使用しているところが多いため、入居の際の面倒な公共関係の手続きはほとんど無く、気軽に入居出来ができる他、スタジオフラットより若干のシェア部分はあるものの、キッチン、流し台がプライベートであることで、他人とのコミュニケーションを必要とする場所は無いため、ほとんどプライベート空間と変わらない。

週で、かなり狭めの安いところで130ポンド〜、相場としてはシングルで150〜200ポンド。お値段もスタジオフラットほど高くなく、気軽かつ共同生活感がほとんどないので、お勧めである。

 

 

4.フラットシェア

 

いわゆる、シェアハウスと同じである。一つのフラット、または戸建ての部屋を間借りするスタイル。リビング、キッチン、バス、トイレ、洗濯機などを共同で利用する。

電気、ガス、水道、ネット、タックス関係などはすべて大家が管理しているため、家賃に「ビル込み」「ビル別」と表示される。ビル別の場合は、家賃の他に、公共料金を住人の数で割った金額を月々支払う。

ビル込み物件を探したほうが、後々のトラブルは少ない。自分の部屋があることで、プライベートな空間はあるものの、共有場所の利用他、掃除当番、ゴミ出しの問題、冷蔵庫の場所割りなど、ほとんどの場所で住人との関わりが必要となり、一人が好きな人には不向き。

年配になった大家が持ち家を賃貸にして郊外へ移り住んでいることが多いが、友人同士でシェアから始まり、後々に住人が入れ替わっていくケースもある。

入居、退居に関するルールが不動産を通すよりも簡単なため、住人の入れ替わりが多い。住人のうちの一人は問題人物及び性質が合わない人物が存在する。公共料金やタックス関係の面倒な手続きは大家が済ませており、住人はそれらを込み、または別で払うのみであり、家賃も抑えられるため、基本的にはフラットシェアが一番一般的な賃貸である。

また、カウンシルタックス(住民税)という必要不可欠なタックスの支払いも、フラットシェアやベッドシットでは、込み、別払いに関わらず、役所へは大家がすべて支払ってくれるため、そこも人気の秘密。週に安いところで95ポンド〜130ポンド(シングルルーム)、120〜180ポンド(ダブルルーム)。

ダブルルームを借りた3組の夫婦が戸建てをシェアをしている事もごく普通にある。

5.ルームシェア

 

僅かだが、ルームシェア物件も稀にある。

友達同士、学生同士でルームシェアしていることが多いため、一般の募集でルームシェアを借りるのはかなりリスキーである。

フラットシェアの物件の部屋を、さらに、ルームシェアをしているため、プライベートは皆無である。

但し、ドミトリーやバックパッカー宿に慣れている人同士であれば、家賃を浮かすために利用するには良いと言える。週に50ポンド〜80ポンドで探せる。

 

 

6.スクワット

 

廃墟となった建物を住居として利用すること。家賃はタダ。無断なので基本的には違法である。

廃墟となった後も、水道が通っている建物は意外に多いらしく、そういった建物を見つけると、宿の無い者同士のネットワークで情報を共有し、雨風をしのいで暮らす。誰かに発見される前に、また他の物件(?)を見つけては移動し、流転暮らしをするらしい。(スクワット生活経験者・談)

 

 

以上、一般的に知られる住居事情の一部である。皆さんが暮らしてみたいフラットはどんな形だろう?

 

 

1、2の、フラット、スタジオフラット以外は、すべてどこかで他人とのシェアが必要不可欠となる。自由はお金を払って買えという事だ。

 

ヨーロッパの友人が興味深いことを言っていた。「日本って小さい部屋がたくさん詰まったマンションが沢山あるよね」と。

 

そう言われてみれば、日本には、4畳のワンルームマンションなんてのも普通に存在する。イギリスには、4畳のスタジオフラットも存在しなくはないが、スタジオと名がつくだけでも、値段がかなり割高になる。家賃を抑えようと思うなら、フラットシェアか、ルームシェアしか選択肢はない。

 

こう話していると、フラットシェアには、かなり金銭的に貧しいか、節約に励んでいるか、親からの仕送りなどを考慮している学生が多く住んでるように思えるが、そうではない。

 

私の知人の、メトロ紙などに記事を書いているジャーナリスト(35歳)は、月あたり650ポンドの家賃でフラットシェアをしている。

収入もそこそこあり、職業的にも大家からの印象がよく、どのような入居募集であろうとも即入居が決まるらしく、もう少し足してフラットを借りれば良いのでは?と思うのだが、彼曰く、「フラットシェアの方が、物件自体が広く、テラスや庭があり、リビングやキッチンが広いため、人間らしく暮らせるから」という事らしい。

 

また、多少共同生活の窮屈さや気遣いはあっても、お互いに干渉せず独立した精神でいるフラットメイトと住むことに、なんの不自由さや不愉快さもないそうだ。仮に、シェアする住人や、生活や通勤事情の不便、あるいはフラットそのものに問題があった場合は「すぐに出ていくから大丈夫」との事。

 

「ロンドンでの家というものはね、そんなもんだよ。自分が他のフラットに住みたくなったら、新しいフラットを探し、退居するだけ。もし人間関係にトラブルがあっても、自分が出て行けばいいだけさ。」

 

とても、シンプルである。

 

実は、友人にこの言葉を頂いたのは、ある日私の住んでいるフラットの隣に入居してきた男性の騒音問題に悩まされていた時だった。(自分が)気に入って快適に住んでいるフラットなのに隣人によって突然のストレスに苦しんでいる、どうすれば良いか、という相談を彼にしたことがあったのだ。

 

実のところ、騒音問題の解決も実にシンプル。

カウンシルに苦情を言えば、一発で隣人に注意・警告が入る。イギリスはこういうところは結構厳しいので、そう言った国の事情を知っているイギリス人で22時以降に騒音を出す人は極めて少ない。

夜中にテクノ音楽を爆音で流しているような住人は、案外、外国人(イギリス以外の国)の人である事が結構多いのだ。

 

しかし、苦情を出せば、ご近所付き合いに支障が出る。隣人と顔を合わせ辛くなるではないか。そう苦しんでいる私に、友人が一言。

 

「他のフラットに住めばいいだけじゃん?」

 

え?私が出ていくの?相手が悪いのに?そう首をかしげる私に、

 

「相手は変えられないよ。下手に苦情を言ったり面倒なことをしても余計な時間を取られるだけだし、メンタルにも悪い。自分が出て行った方が手っ取り早い。そのうち相手が出て行くかもしれないから、放置してるのもいい。でも、我慢してストレスになるなら、自分が出て行けばいいだけ。でしょ?」

 

その言葉を聞いて、衝撃を受けた。余計な事を無駄に考えない、イギリス人の良いところというべきか、単純というべきか。

まさにその通りなのである。自分の心の狭さに嫌気がさした私は、すぐさまそのフラットを出て、割と近いエリアの他の物件に引っ越した。

 

しかし、やはりその退居したフラットの方が居心地もよく、交通アクセスも良かったので、数ヶ月経った頃、そこを出て行った事を若干後悔をした。後悔するのなら戻ればいい、そうシンプルに考えた私は、退居したフラットの大家に連絡をしたところ、その、問題となった騒音児の向かいの部屋が空いているとの事。

 

向かいの部屋なら騒音も響かないだろうと、即座に再入居する事を決め、以前のフラットに戻った頃には、騒音児はすでに退居していた。私が退居した三ヶ月後くらいに出て行ったらしい。

 

なーんだ、三ヶ月我慢してればあっちが出て行ったのか。なんて思ったりもしたが、友人の言うように、相手は変えられない。相手がどう行動するかも推測できない。そこに勝手な未来を都合よく想像をすることは、ただの妄想である。

 

そして、私がそのフラットを出て、別のフラットに移り、そして元のフラットに戻ると言う行動に、手間と時間は割いたとしても、余分なコストを払ったわけではない。

 

 

ロンドンの暮らしはシンプルだ。

 

暮らしたい場所で、暮らしたくなった時に暮らす。余計なストレスは溜めない。相手に無駄な期待はしない。相手に変化を求めない。すべて自己で決断をする。つまりは、インディペンデントである。

 

イギリス人は、シェア生活をしていても、一人なのである。

全く相手を気にしてもいないし、自分が気にされているとも感じない。

 

相手が気になり、それが負担となれば、その場所を自分が去るだけ。

責任は相手にない、自分が合わないだけなのだと考え、自分が合う場所へと自身で決断して移動する。仮に、その先がもし悪い場所であったとしたら、その悪い場所からまた逃げれば良いだけではないかと考える。先の心配も後悔も必要以上に考えない。実にシンプルだ。

 

日本のシェアハウスで短期滞在した時はどうだっただろうか、と、少し思い出してみる。

 

若干の居心地の悪さを感じてしまった際に、こんな堪え性のない私でも、少し耐えた記憶がある。

なぜだろう、「せっかく見つけた宿なんだから!」と言う意識が必要以上に働く。同様に、他の住人からも、宿の愚痴や居心地の悪さなどを聞くことがあったが、よくよく考えてみれば、愚痴を言いながらも耐えて暮らす事に、何の意味があるのだろうか。

 

と、そんな事を言っていたら、何事もなし得ることが出来ない。やはり、忍耐は大事である。

しかしながら、忍耐や根性はポジティブな目的を持った際、その裏で最大限に発揮するべきものなのではないか。

 

ポジティブな一筋の光が射すからこそ、複数のネガティブに対抗するべく忍耐能力を発揮するべきではないか。

 

根本的に、あっちもダメ、こっちもダメとネガティブなインパクトに蝕まれている時に、そこまで忍耐や根性を維持する日本人は、ある意味凄い。やはり、これは文化や国民性の違いというところに尽きるのか。

 

日本で、ポンポンと思いのままに住居を変えて行くことは不可能だ。

契約期間の縛りが何にでも存在するように、様々な面で最低限の期間は耐えなければならないシステムになっている。我々はそんな中で子供の頃から自然に生活をしてきたのだ。

 

日本では、職歴がやたら多いと怪しまれる。職歴一本の人には信頼がある。

イギリスでは、職歴が多い方が経験豊富な人材だと喜ばれる。

その事実からも見える文化背景の違いは大きい。

 

耐えて何が悪い!

いや、堪え性なくて何が悪い!

 

私は、どっちなんだろう。いくら私が単純であり、イギリスかぶれしていようと私はやっぱり日本人である。

相手が気になったり、耐えたり我慢してしまう時もあれば、どうしても自分が譲りたくない時だってある。

 

しかし、単純明快としか言いようのないくらいに、潔いシンプルな暮らし方を望み、インディペンデント精神を好むイギリス人に、我々が見習わなければならないことも、少しはあるのかもしれない。